相撲界に入門 稽古の試練
相撲の世界に入門した力士は、最初には稽古の厳しさに直面して、自分が置かれている立場を認識します。この段階では先輩力士から厳しい指導を受けることで、体の奥底に眠っている素質が開花して、本来の強さを発揮できる場合も少なくありません。
入門した力士は、相撲界の特異な習慣に驚くことがあります。早朝に起床してからは、空腹のままで稽古を行います。この中には柱に対して突っ張りを行う鉄砲もあり、力士たちは黙々と練習に励みます。最初の食事をするのはお昼前の時間になるため、精神力が弱っている場合には、この時間まで我慢することは難しくなります。力士の食事は1日2食となるのが基本で、体を激しく動かした後には昼寝をする習慣もあり、体を大きく育てるための工夫が施されています。
稽古は力士の強さを支える根幹となるもので、どんな強豪力士も避けて通ることができません。ものすごい運動量で強さを誇った力士の例では、初代若乃花が著名ですし、涙の敢闘賞で有名な名寄岩の例もあります。力士の体型が大型化する以前は、厳しい練習で足腰を鍛えることは特に重視されていました。千代の山や栃錦の例も同様で、小さな体の弱点を補うために、大変な努力をしていたのです。